スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- |スポンサー広告  

#25 「捕食」

2016-09-24_16-23-42.jpg

ヴィクトリア:
「ああ、あなた」

2016-09-24_16-25-39.jpg

アンソニー:
「どうした?お前にしては騒々しい」

ヴィクトリア:
「あの子が、アーサーが、先程帰ってきたのです」

アンソニー:
「何っ?戻ってきたのか!どこにいる?」

ヴィクトリア:
「それが…帰ってきたと思ったらすぐにまた出て行ってしまって……」

2016-09-24_16-28-24.jpg

アンソニー:
「何をしている。引き留めんか!お前ばかりずるいぞ。もしかして私が帰ってくるのを予感したのか。
やはりアレが未だに効いているのだろうか?……ううむ」

ヴィクトリア:
「毎回驚かそうとするからでしょう」

アンソニー:
「仕方なかろう。私は他人の困った顔を見るのが趣味なのだから。
なかでもアーサーをからかうのは実に楽しい!!

2016-09-24_16-34-04.jpg

ヴィクトリア:
「昔から申し上げてきましたが、アーサーは繊細なのです!」

2016-09-24_16-26-34.jpg

アンソニー:
「そんなことで心臓が縮むようではこれから先、どうするのだ。
私もいつまでも生きてはいないのだぞ。いつかこの家を継いでもらわねばならんのだ。
……それが嫌でここにいてくれないのだろうが、ともかくも無事で良かった。
アーサーは何か言っていたか?」

ヴィクトリア:
「ウィンデンバーグで友人2人と一緒に暮らしていると言っておりました。
それと、円卓の騎士の言っていた通り、勉学にも差支えはないようです」

2016-09-24_16-35-31.jpg

アンソニー:
「そうか。私も若い頃はよく遊んだ。だから偉そうなことは言えん。
……しかし、アーサーが言っていることが真実なら、ランスロットからの報告、アレは何だ?
彼奴め。嘘を吐きおって。
ランスロットだけに限った話ではないが、アーサーに付くには彼奴らはいささか癖があるし、
『私の』12人よりも遥かに好戦的だ。もっとも、その選定した者たちに問題があるのだろうがな。
このチェスの駒のように素直に動いてくれなければいかん」

2016-09-24_16-39-47.jpg


リアム:
「早かったな。どうだった、久しぶりの実家は。こんなウサギ小屋みたいな家よりはマシだろ?
せめて一日ぐらい、親のために泊まってやれ。自分の家だろ」

2016-09-24_16-53-41.jpg

2016-09-24_16-50-42.jpg

アーサー:
「いや……やっぱり抵抗があったよ」

リアム:
「そうか。よく戻ってこられたな」

アーサー:
「ちゃんと友達2人と暮らしてるよって言ったら、安心したみたいでさ。
分かってくれた。……母さんは、だけど。まだここにいても良いと言ってくれた」

リアム:
「俺たちのことを見てないからそう言うんだろ」

2016-09-24_17-54-56.jpg

アーサー:
「…………」

リアム:
「…………」

アーサー:
「……今日も歴史もの?」

リアム:
「…………」

アーサー:
「ずっと思ってたんだけど……リアムって歴史が好きなのか?
その本棚にある本、歴史ものばっかりだな。……俺の家に関する本もあったから」

リアム:
「昔、お前みたいに大学で学んでみたいと思ったことがあった」

2016-09-24_17-50-31.jpg

アーサー:
「……あった?行ったら良いのに」

リアム:
「試しに今から学費を稼いでみるか?とっくに諦めてる。
自主制作CDが何枚売れようが、結局は赤字だからな。
挙句の果てにジェイコブだ。この前、ソファのスプリングがぶっ壊れて駄目になっただろ?
奴が女と遊ぶ度にいちいち買い替えてたらキリがねえ。大学どころか、生活ができなくなる」

アーサー:
「あっ、でも別に大学に行かなくても勉強はできるよ。
それに、このバンドだってどうして始めたんだ?最初から金儲けのために始めたわけじゃないだろ?」

リアム:
「違う、最初から……金を稼ぐためだった。俺たちは、お前と違って他に方法がないからだ」

アーサー:
「え」

2016-09-24_17-51-14.jpg

リアム:
「お前に嫌味を言うようだが、どうあがいても這い上がれない人間が俺たちなんだよ。
地べたを這いずり回って、今日のゴミ箱の中身は何かを気にするような惨めな存在――
例えそんなのが大学に行けたとしても、無意味だ」

アーサー:
「そんな風に自分を蔑んじゃ駄目だ。リアムもジェイコブも、俺と少しも違わない。
何が違うって言うんだ?階級制度なんて馬鹿みたいだ。そんなもの、なくなってしまえば良い」

リアム:
「…………」

2016-09-18_19-14-40.jpg

アーサー:
……それから時は流れた。2年が経った。今からそう…3年前。俺は大学を卒業した。
卒業式を迎えた後も、続けて音楽活動をしていた。
始めの頃はあちこちとライブの会場場所を移動していたが、
もっとも人が集まりやすいニュークレストのシビック・クリフへと活動拠点を移した。

2016-09-18_21-13-38.jpg

ブリジットも、ウィロー・クリークを離れて、あの家へ引っ越したんだよな。
マグノリア・プロムナードのカフェで働くんだ、と電話をくれた。
電話越しに聞こえてくる君の明るくて弾んだ声。
顔が見えなくても、目に浮かんだよ。君の笑顔が。

2016-09-19_18-54-10.jpg

一方俺は……自分の専攻分野を生かし、主にタブレット端末の販売をしている企業である、
オーク・アルコーブ社への入社が決まっていた。
勿論ベラミー家の者たちは皆、眉をひそめた。
本家の跡継ぎともあろう者が、音楽活動に、一般企業への就職?――と


2016-09-19_19-02-55.jpg

ジェイコブ:
「よし!!今日は店じまいだ!!アーサー、これからお前を良いところに連れて行ってやるぞ。
何て言ったって、今日は俺たちが最初に出会った日からちょうど2年。特別な日だ。
盛大に祝おうぜ!」

ケイト:
「よしなさいよ」

2016-09-19_19-03-59.jpg

ジェイコブ:
「まあまあ、そう言うなって。ケイト、お前も来るか?」

ケイト:
「冗談よして。アーサー、目の毒よ。行かない方が良いわ」

2016-09-19_19-04-23.jpg

アーサー:
「ああ。分かってるよ。行かない。先に帰ってる」

ジェイコブ:
「おい待てよ、つれないことを言うな。良いじゃねえか。今日という日は付き合え。
どうせお前のことだから、ずっと愛想笑いしてるだけだろ。
なあリアム……って、あいつどこ行った?」

2016-09-19_18-56-43.jpg

ケイト:
「リアムは話し中よ。だから、先に行ってろって」

ジェイコブ:
「お前ら地味に言葉発さずにアイコンタクトで通じるから良いよな。いやー、楽だろ。
リアムは口すら開きたくないファンキー空虚野郎だから仕方ねえか。
あいつには記念日の観念がないのか?これからせっかくのお楽しみだっていうのによ。
あんなんじゃ、可愛い女子が逃げちまわあ。大昔の遠い国の言葉で聞いたことねえか?
兵は神速を貴ぶ!行くぞ!アーサー!」

2016-09-19_19-08-30.jpg

ケイト:
「(こういう時に限って物知りなんだから……)」

2016-09-19_19-16-58.jpg

2016-09-19_19-17-12.jpg

リアム:
「今日も遊んだ、か」

2016-09-19_19-17-41.jpg

ジェイコブ:
「正解だぜ。伊達に長年付き合ってないな」

リアム:
「アートが気の毒だ。楽しかったか?」

2016-09-19_19-19-52.jpg

アーサー:
「ハハハ……楽しいっていうより……疲れた」

ジェイコブ:
「お前もケイトも揃いも揃って目の毒とか気の毒とか何なんだよ。今更だろ。
もうとっくにこいつ、既にただ俺らといるだけで毒食らってるんだよ」

アーサー:
「え、毒って何のことだ?」

リアム:
「ハハ、確かに」

ジェイコブ:
「リアム、今日はアーサーと知り合ってから丸2年なんだぜ。
男と立ち話なんざ明日やれ明日ァ!」

リアム:
「日はずれるが、祝うのにちょうど良い話が舞い込んできたからな。少し話をしただけだ」

ジェイコブ:
「おっ、この野郎。すかした顔してしっかり覚えてるじゃねえか」

リアム:
「……ただ、これも毒だろうな」

ジェイコブ:
「あん?」

2016-09-19_19-21-05.jpg

「……ピアー・パレスだあ?向こうの……離れ小島の方か?」

リアム:
「そうだ。今日のライブ終わりに話した男から招待された。久しぶりに美味しい話だ。
連絡先を交換したから、この後、返事をする」

アーサー:
「ケイトは抜きの『演奏依頼』だって?」

ジェイコブ:
「なるほどな。しかし待てよ。
俺たちの間でなら良いが、さすがにそういう場となるとヤバくねえか?」

2016-09-19_19-20-50.jpg

リアム:
「問題ない。ピアー・パレスは高級住宅だ。わざわざあんな辺鄙な場所までサツも来ない。
それにその男もいかにも財力がありそうな男だ」

ジェイコブ:
「本当かあ?ま、俺は良いぜ。アーサー、お前行く気あるか?」

リアム:
「どうやらお前に会いたいらしい。またファンが増えたな」

2016-09-19_19-22-41.jpg

アーサー:
「俺に?俺に会ったって何にもならないのに」

2016-09-19_19-22-53.jpg

ジェイコブ:
「男のファンか。いらねえな」

リアム:
「アート、どうする?滅多にない話だ」

2016-09-19_19-22-26.jpg

アーサー:
「なあリアム。それって『普通』なのか?」

リアム:
「普通だ。俺たちにとってはな。行こうぜ」

アーサー:
「じゃあ行くよ」

2016-09-19_19-24-59.jpg

ジェイコブ:
「何か話が美味すぎる話もしないわけではないけどな…一旦考え…」

リアム:
「……ああ、今日の話だ。3人で行く」

ジェイコブ:
「(って早速電話か!聞けよ!)」

2016-09-17_18-59-22.jpg

コーデリア:
「またパーティーを開くの?一体どちらが本業か分からなくなってくるわ」

2016-09-17_18-58-55.jpg

イーサン:
「飽きてきたか?今回は大物が来る。入念な準備が必要だ……いつもよりもな」

2016-09-17_19-03-39.jpg

コーデリア:
「大物?嬉しそうね。とにかく、私は準備を手伝うけれど、今は大事な時期なのよ。
それくらい、分かっているんでしょう?」

2016-09-17_19-04-22.jpg

2016-09-17_19-02-10.jpg

イーサン:
「警察に知られるのが怖いか?」

2016-09-17_19-02-18.jpg

コーデリア:
「ええ。怖いわ。何よりも、あなたのことが」

2016-09-17_19-06-33.jpg

2016-09-17_19-11-32.jpg

2016-09-17_19-08-29.jpg

アーサー:
そして……

2016-09-19_10-00-41.jpg

2016-09-19_9-59-28.jpg

とうとうピアー・パレスを訪れる日がやってきた。
カラフルで先進的なデザインのその建物は、
伝統的な街並みのウィンデンバーグの中で一段と目立ち、不自然なくらいで……。
寒々としていて暗い海とも対照的だった。
もう既に中には地元の他のバンドの人たちが集まっていた。コーデリアの姿もあった。
……そして、『あいつ』が待っていた


2016-09-19_18-27-07.jpg

リアム:
「おい、見たか?」

ジェイコブ:
「見たぜ」

2016-04-29_17-22-30.jpg

2016-04-29_17-23-59.jpg

2016-09-19_18-26-57.jpg

リアム:
「……美人だ。珍しくお前が反応しないな。隣の部屋に入っていった。追わないのか?」

2016-04-29_17-26-45.jpg

2016-04-29_17-27-37.jpg

ジェイコブ:
「ああいう女は駄目だな、明らかに。勘で分かる。
さっきすれ違ったときに微笑みかけられた時は危なかったが、ドラッグと一緒だ。
ハイリスクハイリターン」

リアム:
「ハハハ」

2016-09-19_18-27-23.jpg

ジェイコブ:
「アーサーの奴、早速付きまとわれてやがって。しつこいぜあの男。いつまで喋ってんだ?
いい加減その辺り上手く切り抜ける方法を身に付けねえかな、あいつ。
お上品なアクセントもイントネーションも抜けないしよう」



2016-09-19_10-22-06.jpg

2016-09-19_10-23-41.jpg

イーサン:
「アーサー。俺はお前に一番に来てもらいたかった」

アーサー:
「何故?」

2016-09-19_10-27-35.jpg

イーサン:
「同じ境遇だからさ。鬱陶しい、家の古臭いしきたりに従わなくちゃいけない。
俺には見える。お前の身体に無数の鎖が繋がっているのを。
それを断ち切るためにここに来たんだろ?でも結局断ち切れない。
鎖で縛られた竜は身動きが取れず、苦しみもがき、その大きな翼を広げられない。
……可哀想に」

2016-09-19_14-56-53.jpg

アーサー:
「竜だって!?もしかして……」

イーサン:
「クク、思った通りだ。過剰に反応するな。心配しなくて良い。親戚などではない」

アーサー:
「……俺はこの辺で失礼する。友達を見失うから……っ!?」

2016-09-19_14-37-27.jpg

2016-09-19_14-31-28.jpg

2016-09-19_14-38-22.jpg

イーサン:
「……アーサー。気分を害したか?もう少し楽しもう。話はまだ終わってないだろ……?」

2016-09-19_14-38-52.jpg

アーサー:
「(痛っ……。何て掴み方だ)」

2016-09-19_14-53-43.jpg

イーサン:
「この場はすべてお前のために用意したんだ。さあアーサー、その酒を一息に飲み干してくれ。
それを飲めば、自由になれる。念ずるんだ。鎖を断ち切りたければ」

2016-09-19_14-46-59.jpg

2016-09-19_15-00-29.jpg

アーサー:
「…………鎖、か」

イーサン:
「せめて酔っている間だけは何もかも忘れたいだろ?」

2016-09-19_14-59-46.jpg

2016-09-19_15-04-28.jpg

コーデリア:
「!」

2016-09-19_15-05-26.jpg

2016-09-19_15-06-28.jpg

2016-09-19_15-01-30.jpg

2016-09-19_15-02-06.jpg

イーサン:
「……我々と、我々の友に危害を与える者、死するべし。これすなわち正義なり……」

2016-09-22_14-13-11.jpg

ジェイコブ:
「あいつまだ喋ってんのか?やれやれ、野郎相手に恐れ入ったぜ。
仕方ねえ、ちょっくら様子を見てくるか……」

2016-09-19_18-29-19.jpg

「……おっと!やっと主賓の登場か。遅いじゃねえか」

2016-09-19_18-31-34.jpg

アーサー:
「気分が悪い……」

2016-09-19_18-31-44.jpg

ジェイコブ:
「当たり前だ。あんな黒ずくめ野郎とアレだけ話してりゃ具合も悪くなる」

2016-09-19_18-32-02.jpg

リアム:
「しばらく座っていれば楽になる。座れ……!!!」

2016-09-19_18-40-46.jpg

ジェイコブ:
「アーサー!?」

リアム:
「アート!!」

2016-09-22_14-44-38.jpg

2016-09-22_14-45-36.jpg

「役目は終わったか?」

「ああ。下は大騒ぎになっている。今、救急車が呼ばれた。重要なのはこれからだ。
ここで待っていてくれ。私は着替えてくる」

2016-09-22_14-45-58.jpg

2016-09-19_18-05-45.jpg

ジェイコブ:
「おい、ファッキン救急車はまだ来ないのか?場所が悪いのか……」

2016-09-19_17-59-56.jpg

2016-09-19_18-11-53.jpg

2016-09-19_18-09-28.jpg

リアム:
「……反応がねえ」

ジェイコブ:
「俺は絶対に諦めねえ。とにかく、来るまで続けるぞ。良いか、リアム?」

2016-09-19_18-01-49.jpg

2016-09-19_18-04-50.jpg

2016-09-19_17-58-54.jpg

「くそっ……」

2016-09-19_18-14-28.jpg

アーサー:
……2人とも、救急車が到着するまでずっと交替で救急処置をしてくれた。
ジェイコブとリアムは、この後駆け付けた『救急隊員』と意識のない俺とともに、病院へと向かった


2016-09-19_10-52-14.jpg

2016-05-21_10-48-26.jpg

2016-09-19_20-28-48.jpg

「さて、いつ奴らは現れる?」

2016-09-22_15-54-12.jpg

「いつまでもここに留まっているわけにはいかない。言いつけを守らなければ」

「『王』に危機が訪れた時と言われているが……。
救急車も警察もいなくなった。もう来ていてもおかしくない。
イーサン様は彼らの『沈黙』を破るとおっしゃったのだ……必ず来るはず」

2016-09-22_19-56-19.jpg

2016-09-22_15-40-59.jpg

「おお、着替えるのに随分と時間がかかったな。奴らがいつ来るのか分からないのだ。
気を緩めてはいけない」

2016-09-22_15-42-25.jpg

「…………分からない?……それだけは予言はできないのだな」

「……!!!ば、馬鹿な!まさかお前は……」

2016-09-22_15-42-36.jpg

「我が名はランスロット。王を護る者なり……」

2016-09-25_18-30-28.jpg

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。